樹木も構造物の一部

2020.03.20

「SEIYOいい話コンテスト」の2019年受賞作品をご紹介いたします。

当社の管理物件に勤務する管理員の作品です。

 

 

≪樹木も構造物の一部≫
~対抗から対応、サービス心へ~


私は定年退職後に、とあるマンションの専従管理員として十年間、その後は巡回管理員として四年程勤めています。

初任地の管理員一年目の冬、マンション玄関口の植栽の一本を枯らしてしまいました。

その時、居住者のF様から、「あなたが水遣りを怠ったからだ」と厳しく叱責されました。

私は上司に報告した後に、F様に水遣りは定期的に実施している旨を細かくお答えするも、F様曰く「樹木は人間が無理やりに自然界から庭先に移植したのであって、育てるのは人間だ」とおっしゃられました。

これに対して私は「花壇が屋内にあり北側のため一日中日陰である上に、吹き込んできた冬場の強風を受けていることも枯れた原因ではないでしょうか」と申し上げましたが、F様からは「樹木はものを言わない、しかし何か話したそうにしている。それぞれの樹木は親元を離れ一人で生きていこうとしているので、あなたが手助けせねば誰がやる」と更なる指導を受けました。

 

現在は勤務日報に「植栽の欄」が有りますが当時は日報書式が確立されておらず、私は水遣りの実績の証明をすることが出来ませんでした。そこで、その証明をすべく独自の作業日誌ノートを付け始め、項目に水遣りの行を付記し、次なる指摘をいただいたならば記録ノートで「対抗」しようとしました。

その後、十年間でノートも四冊を数えこの独自記録ノートはある時、社内の管理員研修会で披露されました。

始めは、居住者の方からいただいたご指導への反省心を忘れて対抗する気持ちで作成したノ一トでしたが、時も流れ「対杭から対応、サービス心」が芽生えるようになり、樹木の日々の生き様を知ることになって木々の命のたくましさに敬意を払うようになりました。

 

ある時、かのF様から「マンション外周の剪定を一緒にやろう」と誘われ、協業している内に樹木の叫びを感じることが出来る様になりました。

冬の強風と日照不足の厳しさに耐えて生きる生命力を感じ、F様からは剪定技術まで教えを受け、職務に対する愛情と達成感を実感する一時でした。

その後、F様は転居されましたが、その折に「あなたのよう植栽管理に立ち向かっている人は誰もいない。先駆者として続けて欲しい」と寛大なお言葉を頂きました。

 

お客様からのクレームを受けたとしても、逃げずに直面目に向かっているうちに、信頼関係を築くことが出来ると確信しました。

これからも管理員として、誇りをもって勤めさせて頂きたく存じます。

 

管理会社をお探しのお客様、新規のお客様へ

管理のご相談・お見積はこちら

営業時間 平日9:00 - 17:30

タップしたら電話がかかります。
首都圏

0120-099-531

首都圏

0120-099-531

中京圏

0120-448-758

中京圏

0120-448-758

近畿・九州圏
近畿
九州圏

0120-945-811

近畿・九州圏
近畿
九州圏

0120-945-811