8年の月日と管理員とは

2020.04.01

「SEIYOいい話コンテスト」の2019年受賞作品をご紹介いたします。

当社の管理物件に勤務する管理員の作品です。

 

 

≪8年の月日と管理員とは≫
~高齢者へもう一歩踏み込んだ対応とは~


現在のマンションで管理員の仕事を始め早いもので8年が過ぎようとしています。8年間は退職後のわずかな年月ではありますが、貴重な年月を過ごさせて頂いています。

 

8年前に、幼稚園生や小学生だったお子様達がいつの間にか高校生や大学生になられています。幼稚園や小学校の卒園式、卒業式の帰りにご両親と一緒にマンションの玄関前で写真を撮影してあげたお子様達が立派な青年達に。

半ズボンでマンションからの行き帰りに私とハイタッチしていたお子様達はいつの間にか私より体が大きくなり、茶髪にピアスを付け、スマホを見ながら受付の前を通り過ぎて行きます。今では私のあいさつにお応えになるでなく、無言で通り過ぎて行かれる姿にちょっと寂しさを感じることもあります。

でもよく考えると思春期の彼等からすれば、小さい頃の自分を知っている管理員はちょっと気恥しく、鬱陶しい存在なのかも知れません。最近は私の『いってらっしゃい』『お帰りなさい』のあいさつに、ピアスの青年が小声で『ういっす』と無表情に応じてくれたり、着飾ったお嬢様のうつむき加減の小さな会釈が精一杯に応えて頂いている様子だと思うようになっています。

 

一方、ご高齢の方々に対しても8年間での変化を感じざるを得ません。ついこの間まで闊達にお話しさせて頂いていた方々に年齢による変化が見受けられるのは寂しいですが、仕方のないことなのでしょう。

昨夏の午前中、お一人でマンションにお住いのお母様の所に月1回はお泊りにいらしているご子息様から、管理員室にお電話がございました。

内容は『母は外出しましたか?』。私は『巡回時間以外で受付にいる時間には外出されたお姿は見ていません』とお答えしました。

すると『朝から電話していますが母が電話に出ません。今日は外出の予定はないはずなのですが・・』と。

私は管理室のインターホンでお呼びいたしましたがご返事がないので、『玄関先に行きお声掛けしますので10分後にもう一度ご連絡ください』とご子息様にお伝えし、玄関先にてお声掛けしましたが、お母様からの反応はありませんでした。

10分後にご子息より連絡があり、『お声掛けしましたが、返事はありません。お部屋の鍵は掛かっています』とお話すると、ご子息は『心配なので今からそちらに向かいます。ちょっと時間かかりますが何かあったら連絡お願いします』と焦られたご様子でした。

以前にお母様が熱中症に掛かられたことがあるとお聞きし、本当に心配になってしまいました。

それから30分程経過してもう一度お部屋に行こうとしたその時に、エントランスに『ただいま』とお母様が帰っていらっしゃいました。

ああ良かった!経過をお話しして『今、ご子息様がこちらに向かわれています。すぐお電話して下さい』と申し上げました。

すぐ掛けたお電話口で、ご子息様からは大変叱られていらっしゃいましたが、何事もなくお元気でしたので一安心しました。

お母様は『薬が無くなったので急遽病院に行ってきました。しかも携帯電話を忘れてしまって…』とのことでしたが、真夏の猛暑の折、長時間ご連絡の取れなかったご子息様のお気持ちは如何ばかりであったかと思うと本当に堪らない一件でした。

 

親孝行なご子息様のお気遣いとお母様に何事もなかったことで笑い話で終わりましたが、管理員として、高齢者の一人住まいの方の安否をただ心配するだけでなく、もう一歩踏み込んだ対応が出来ないものかと考えさせられる一日でした。

 

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