2018.01.01
マンションの防災備蓄食品に賞味期限がきて買い換える際に、古い在庫の扱いに困ったという経験はありませんか?
いくつかのマンションでは、消防訓練などのときに賞味期限の近づいた食品をみんなで食べるイベントを行っていますが、参加率が低いのが現状です。
一方、備蓄食品を製造している企業も、同じ悩みを抱えています。
那須塩原市の株式会社パン・アキモトは、阪神大震災での被災地支援をきっかけに、備蓄食品としてパンの缶詰の開発・販売を開始しました。
乾パンではなく缶詰に入ったやわらかくておいしいパンです。
ところが3年の賞味期限が近くなると、備蓄先から「返送するから廃棄してほしい」という依頼が舞い込むようになりました。
「食べていただくために作ったのに、廃棄するなんて」と思い悩むパン・アキモトのところに、スマトラ沖地震の被災地から「賞味期限の切れる前のものがあったら送ってほしい」という連絡があり、当時は新品をすぐ現地に送ったそうです。
このできごとを契機にパン・アキモトは、捨てられてしまうパンの缶詰と、災害や飢餓に苦しむ人々とを、同時に救う仕組みを考えたのです。
名づけて「救缶鳥プロジェクト」。
賞味期限は3年ですが、購入から2年後に再購入と回収の案内が届きます。
回収されたパンの缶詰はNGO日本国際飢餓対策機構などと連携して、食糧難の地域や国に無償で届けられます。
これまでに、ジンバブエ、スマトラ、フィリピン、タイ、台湾、コンゴ、ハイチ、コートジボワール、タンザニア、スワジランド、ネパール、バヌアツなどの各国や、中越地震以降の日本国内の被災地に義援物資として届けられた実績があります。
この活動によりパン・アキモトは、2017年12月9日、環境省主催の「第5回グッドライフアワード」で最優秀賞を受賞しました。
私はたまたま表彰式を見に行って、この取組を知ったのですが、感動しました。
困難にチャレンジすれば、解決策は見出せるものですね。
パンの缶詰を受け取ったフィリピンの女の子(写真提供:株式会社パン・アキモト)
≪関連ホームページ≫
「環境省グッドライフアワード」
http://www.goodlifeaward.jp/glaentry/glaentry-4816
「救缶鳥プロジェクト」パン・アキモト
http://www.panakimoto.com/products_kyucancho/pdf/pamphlet_kyu.pdf
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